駅のホームで「いちど、空にする」

 駅で電車を待つとき、モバイルバッテリーを現場に置いてきてしまったことに気づいた。電車に乗って市街地に向かい、高校時代の友人と飲みにいくから、帰りのことも考えてバッテリーを温存しなければと思った。
 スマホを下ろしてふと周りを見渡すと、日が沈み、もうほとんど夜になった空の下、煌々と明るい駅のホームは、自分の他には1人しか人はおらず、冷たい空気の中、通っていた大学の名前を冠した駅の駅名看板は鈍い光を放っている。

 1週間前には静岡に旅行していて、数日前には東京に行きその後茨城で撮影をし、その日のうちに京都に戻って翌日にはスタジオ撮影。そして今日には出身の大学に来て照明をしている。
 この巡り巡りといる土地が変わっている感覚が、すごく面白いし、いい社会人生活をできているなという感じ。
 風のように色々な場所へ行くのに、行く理由は全て定まっているし、芯となる自己は確かにある。 精神も肉体も、元気だったり疲労したりするけれど、確かに、自分の足で歩き続けている。

 偶然にもバッテリーを忘れ、バッテリーを温存しなければとスマホを触るのをやめ、ゆっくりと呼吸をした。今年のテーマにしようとしている「空白」は、こんな些細なことで生まれてくるのだなと思った。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です